「六星」の願い
3月に入り、卒業証書授与式、卒園式、修了式があり、今年度の授業日が無事終わりました。幼児児童生徒のがんばり、そして、成長がたくさん見られ、ひとりひとりが輝いた1年でした。
ご協力ありがとうございました。
卒業証書授与式などでは必ずみんなで校歌を歌っています。
昭和12年11月に制定された本校の校歌には、「まなこには見えね 六つ星にふるる」(まなこにはみえないけれど 六つ星に触れることができる)という歌詞があります。
「学校紹介ムービー」で流れている「ネーチャーランド友達ランド」には「宇宙には いろいろな星があるけど 点字には むっつ星が あるんだよ」という歌詞があります。
そして、沼津、静岡、浜松の3校の視覚特別支援学校の交流は、六星交流会。さらにPTA総会は「六つ星会」と表記されています。
本校では、とても身近な「六つ星」という言葉ですが、その意味は点字が6つの点で構成されていることに由来しています。
昨年の大河ドラマは、紫式部と藤原道長が主人公でした。その登場人物の一人、清少納言が千年以上前に書いた「枕草子」には、「星はすばる、ひこぼし、ゆうづつ、よばひぼし、すこしをかし。」(星といえばすばる。そして彦星。宵の明星(金星)、流れ星もいい。)という部分があります。
「すばる」は、秋から冬の夜空に6つほどの星がひとかたまりになって見えるおうし座にあるプレアデス星団につけられた名前です。地域によっては、六つ星、六連星、鈴なり星などとも呼びます。
この「六つ星」こと「すばる」は、「集まって一つになる。」「まとまって一つになる。」という意味の古くからある言葉だそうです。
千年以上前から伝わる言葉が点字を意味する言葉として使われ、さらに共生社会や共生・共育、2つの障害部門が学ぶ新特別支援学校につながっている「縁」を感じたのは、きっと私だけではないでしょう。
校歌のようにみんなが一つになる共生・共育、さらに共生社会に手が届く(六つ星にふるる)ことができるように、次年度そして未来へ向けた歩みを進めていきたいと思います。
2025.3
共に生きる社会は、身近なところから
今年の冬は、厳しい寒さとなりましたが、3月に入り、伊豆からは早咲きの桜の便りが届くようになりました。
令和6年度もまとめの時期を迎えています。
今年度の初めに、本校の職員には、「学校教育目標『自立と社会参加を目指し、可能性を広げる』の実現のために、一人一人の個性や「多様性を尊重」し、互いに「対話」を大切にして前向きに取り組んでいきましょう」と伝えました。
この一年間、
幼稚部は、「興味関心を広げ、やってみようとする気持ちを育てる。」。
小学部は、「できることを増やし、自信をもって自分から進んで取り組む子どもを育てる。」。
中学部は、「自立と社会参加に向けて、基礎的・基本的な知識・技能及び習慣、社会性、健やかな体を育てる。」。
高等部は、「施術者としての資質を身に付け、志を持って社会参加できる生徒を育てる。」。
静岡視覚・静岡聴覚寄宿舎は、「寄宿舎生活を共に楽しむ中で、多様な興味関心を互いに認め合うよう育てる。」。
これらの目標を目指し、それぞれ、取り組んできました。
取り組みの中では、学校運営協議会委員、地域、音楽などの外部講師、市町の教育委員会や福祉課、福祉機関などの関係機関、交流園・学校、実習先の企業、静岡南部特別支援学校、静岡北特別支援学校、保護者・保証人など、書ききれないほどたくさんの皆様の御協力がありました。あらためて感謝申し上げます。
さて、3月3日に高等部の卒業証書授与式がありました。
年齢や性別、環境、それまでの人生経験、障害の有無、障害種など、「個性があって当たり前」という「多様性の尊重」。教育や社会が「一人一人が尊重され、持てる力を発揮し共に生きる」場になるための「対話」。これらを大切にした今年度でしたが、生徒にはしっかりとその思いが伝わっていて、とてもうれしく感じた式でした。
高等部卒業生代表の「答辞」の一部を紹介します。
「このように充実した学校生活の中で、最も学んだことは 『共生』ということです。ハンディがあろうとなかろうと共に今を生きるということです。
臆せず、感謝を忘れず、今、自分のできることを一生懸命にする。そして胸を張って歩んでいく。
とても大切な生き方を学ぶことができました。」
2025.3
新年・3学期を迎えて
幼児児童生徒が登校し、みんなで3学期のスタートを迎えることができました。あらためて感謝申し上げます。
冬休みのあいだ、静岡は、穏やかな天気が続きましたが、年末には、インフルエンザの流行が警報レベルになり、交通死亡事故多発警報も出されました。この機会に、改めて手洗いうがいなどの感染症の対策、そして交通安全について、クラスや家庭で話し合いたいと思います。
さて、この1月は新しい年、令和7年、西暦2025年を迎えました。
干支は、昨年の辰(たつ)から巳(み)に変わりました。
「巳」という字は、胎児の形から来ており、「新しく生まれてくる」「将来・未来がある」「家族が平和になる」といった意味があるそうです。
また、脱皮をするヘビのイメージから「復活と再生」「新たな挑戦」「変化に前向きになる年」を意味します。
特に今年は「乙巳(きのとみ)」という「再生や変化を繰り返しながら柔軟に発展していく年になる」と言われています。
幼児児童生徒の中には、今年、卒園・卒業や転校、進学、就職など、新しいステージを迎える人もいます。学校も、令和8年度の新特別支援学校開校に向けて準備が進みます。
3学期、そして次のステップに向けて、「新しいことや変化に前向きにチャレンジ」できるよう、保護者、地域、関係機関の皆様と力を合わせて、幼児児童生徒を応援していきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
2学期を終えて
8月28日にスタートした80日間の2学期が終わりました。 静岡市では40度になった猛暑の8月から、季節は冬になりました。
2学期の始業式では、幼児児童生徒に「いいぞ」「いけるぞ」「ありがとう」など「がんばっている自分や仲間にエールを送ってほしい」と伝えました。
2学期を振り返ると、修学旅行、企業での実習、駿府匠宿や市民体育館などの校外学習、居住地や地域、オンラインなどでの交流、歩行学習、音楽会など、多くのことを学び、たくさん体験することができました。
私からも幼児児童生徒の皆さんに、「頑張ったね」「ありがとう」とあらためてエールを送りたいと思います。
そして、学習活動に御協力いただいた皆様に、あらためて感謝申し上げます。
さて、先日ノーベル平和賞の授賞式が、ノルウェーのオスロで行われました。
「核兵器をなくそう」など訴えてきた、広島や長崎で原子爆弾の被害にあった方たちに、メダルと賞状が授与されました。
ノーベル賞は、医学や文学などの分野で「人類にもっとも大きな貢献をした人」に毎年贈られます。この賞を作ったノーベルは、150年以上前に「ダイナマイト」を発明しました。ダイナマイトは、鉄道や道路の工事などに役立ちました。しかし、自分の発明が、役に立っていると思ったのに、戦争に使われていて、ノーベルは、大きなショックを受けました。そのため、「平和に役立てたい」とノーベル賞を作ったそうです。
地域に出かけて、安全安心に学ぶことができることに感謝し、平和についても子どもたちと考えていきたいと思います。