校長挨拶

校長挨拶

『飛翔VOL.91』寄稿                      令和7年5月吉日

 何年ぶりでしょうか…桜の花が残っていた今年の始業式、入学式が厳粛に執り行われ、その輝きを放つ瞳が印象に残ったまま、対面式、運動部の活躍、輝潮祭、探究活動と共生交流活動、各キャリア行事によって、瞳の輝きは全身から「高校生たる所以」と言わんばかりの眩しい光に進化していきました。保護者の皆様をはじめ、本校を形作ってくれている皆様が、大人として生徒の手本となってくれていることに深く感謝申し上げます。

 さて、ある高名なアニメ長・短編映画の監督の仕事ぶりに密着したTV番組を視聴したことがあります。監督は「…面倒くさい…面倒くさい」と口ずさみながら、キャラクターの動きや表情を細かくチェックしていました。その後のインタビューで「私達の日常は大抵、面倒くさいことの連続。でも面倒くさいからといって手を抜くと、日常生活に支障が出るか、信用を失う。アニメ映画でも、手を抜けば人の心を動かす作品にはならない。」とおっしゃっていました。面倒くさいと思うことこそ、感情的にならず、淡々とやり過ごす自己指導力を身に着けたいものです。また、生徒の皆さんは、多くの人に支えられています。それと同時に、あなたが居るだけで、多くの人を支えているのです。心の拠り所になっているのです。多くの人を支えるために、面倒くさいことを理路整然と計画的に実行する知性を身に着けたいものです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

『令和7年度第一学期終業式 校長式辞』   

皆さん、一学期が終了しました。

 熱心に授業を受ける皆さんの真剣な表情が見られ、聞く姿勢や新たな知識や技術との出会いを楽しむ姿勢が、伝わってきました。また輝潮祭をはじめ、部活動や生徒会活動など、仲間と協力して今できることに 全力でチャレンジする姿勢に感動しました。そうした浜松江之島高校で出会った皆さん一人一人が 学校を形作っていることに感謝します。

 さて、一学期始業式で、出会いは必然という話をしました。新たな知識や技術との出会い、お互いをよく知らない人との出会い、自分が知らない自分自身との出会いがあったことでしょう。まず、新たな知識や技術との出会い、つまり勉強は何のためにするのか考えたことはありますか?

 正解かどうかは皆さんが判断してくれれば結構ですが、私の一つの答えは「賢くなるために勉強する」です。ここで言う「賢くなる」とは、単に知識を詰め込むことではありません。

 もちろん、受験や定期テストのために、知識や技術を身につけることは重要です。しかし、同等に大切なのは、物事を深く考える知性、本質を見抜く洞察力、そして、学んだことを次の課題解決や実生活に応用する適応力を身につけ、自分の感情をコントロールして、言葉を選んで上手にコミュニケーションをとる、自分を表現する社会人としての基礎力を身に着けることです。未知の知識や技術との出会いは、未知の自分との出会いをもたらします。

 皆さんは、授業で新しい知識を得たとき、なぜそうなるのか考えたことがありますか? 友達との議論の中で、自分の意見を深め、相手の意見を理解しようと努めましたか? 答えが見つからない問題に直面したとき、すぐに諦めず、粘り強く思考を巡らせることができましたか?

 もし、一つでも「そうだ」と言えることがあれば、皆さんはこの一学期、確実に賢くなるための階段を上ってきたと言えます。それは、新たな自分との出会いに成功した、ということになります。

 皆さんには、勉強ができる人であると同時に、賢い人になってもらいたい。賢い人として、「ありがとう」「大丈夫だよ」「一緒にやってみよう」などポジティブな言葉を使いましょう。言葉は、私たちの心を映し出す鏡であり、周りの人々に大きな影響を与えます。

 難しい課題に直面したとき、「どうせできない」と諦めるのではなく、「どうすればできるだろう」と前向きに考えて言葉にできたでしょうか。友達が困っているとき、「仕方ないね」で終わらせるのではなく、「何か手伝おうか」と声をかけることができましたか。ポジティブな言葉は、周りの人を笑顔にすることができ、自分自身を勇気づけます。

 「鬼滅の刃」というアニメーションのキャラクターである“かまど たんじろう”も言っていました、「人のためにすることは、めぐりめぐって自分のためになる」と。言葉も同じです。

 ポジティブな言葉は、皆さんの周りを明るく照らし、人間関係をより豊かにして、さらなる新たな出会いを生み、コミュニティを広げ、これからも浜松江之島高校全体をしなやかに包んでくれるでしょう。

 私たち大人であっても、ポジティブな言葉だけを使い続けるのは難しいことですが、先生方は、ネガティブな言葉をポジティブな言葉に言い換えるリフレーム、リフレーミングという技法を意識してくれているので、ぜひ聞いてみてください。

 ここで、出会いは必然という、4か月前の私の言葉を、今、訂正しましょう。賢い人にとって、新たな知識や技術、人との出会いは、必然的に新たな自分との出会いをもたらす。さらに、賢い人は、新たな出会いを必然ととらえ、出会いたい新たな自分の姿を形作ることができる、です。

 夏休み中も、自分自身が賢い人であることを強く自覚し、ポジティブな言葉を使って生活してください。家族や友人との会話の中で、皆さんの言葉が温かい光となることを願っています。

 今日から、一学期で得た学びをしっかりと振り返り、心身ともに充実した時間を過ごしてください。そして、二学期に、元気な皆さんと再会できることを楽しみにしています。

 令和7年7月18日

 静岡県立浜松江之島高等学校 校長 鈴木雅道

メッセージ

 

PAGETOP