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校長挨拶

 昭和54年、みどりなす麁玉(あらたま)の地に白亜の5階建ての建物が姿を現しました。浜北西高校です。地域の皆様の「浜北に普通科高校設置を」という願いが設立のきっかけとなりました。校舎を見て、地域の方々は「新しい浜北のシンボルができた」とたいそうお喜びだったそうです。1期生は251名、まだ体育館はなく入学式は市の体育館を借りて行われました。開校入学式において初代校長、鈴木忠夫先生がこのように語っています。「浜北西高校は今日から何十年何百年と続き、何千何万人の入学生を迎え卒業生を送り出すことでありましょう…ここでの諸君の生活の総てが、浜北西高校の歴史そのものとなる…」。昨年、令和5年、卒業生は1万4000人を越え、1期生は60歳という人生の大きな節目を迎えられました。

 本校の特色の一つは地域とのつながりの強さです。『総合的な探究の時間』では「まちづくり」などをテーマにフィールドワークを行います。高校1年生が地元のパン屋さんの宣伝動画を作成することになりました。インタビュー形式でお店のご主人に人気のパンなどいろいろな質問をしたあと「最後に一言お願いします」と。「ぜひお店に来てね」くらいの返答を予想していたところ、ご主人は少し間をおいて、ゆっくりと「高校生の可能性は無限大。夢を決してあきらめないで…」と熱いメッセージをくださいました。あとでご主人が本校卒業生であることを知りました。自身の生き方を伝えるとともに、これから社会に出る後輩を激励する様は「諸君の生活の総てが、浜北西高校の歴史そのもの」という初代校長の言葉とつながります。地域社会で活躍する卒業生の存在が、本校と地域のつながりをきわめて強いものにしてくれます。

 地域とつながりの強い本校は、PTA、後援会からも様々なご支援をいただいています。一つだけ紹介します。本年6月の文化祭で行われた「炊き出し」です。本校ピロティにブルーシートが敷かれ、PTA、後援会の方々の作業が始まり、豚汁1000食分とおにぎり250個分が用意されました。豚汁を5回もお代わりした生徒も。青空の下、みんなで食べる幸せを共有すると同時に、能登では高校生がボランティアで「炊き出し」を行っていることを知り、防災に対する意識も、また地域の守り手としての意識も高まったように感じます。

 また文化祭の日は、地域の浜北国際交流協会とのつながりからのイベントも。協会のお力添えでタイ国シリントン高校の生徒を招待し、一週間ほど交流活動を行いました。シリントンとはタイ国の王女のお名前です。シリントンの生徒たちの気品ある振る舞いによほど感銘をうけたのか、「タイに行きたい」「留学したい」という生徒が激増しました。本校は令和6年度、県教育委員会よりグローバルハイスクールに指定されました。日本を出てグローバルな視野をもとうとする生徒の背中をもっと押したいと思います。令和7年度に向けて本校よりタイ国シリントン高校に生徒を派遣し交流する事業を企画中です。

 浜北西高校は普通科高校ですが時代の変化に果敢に対応する普通科高校でもあります。6年前の創立40周年記念において公式マスコットキャラクター「キタニシカ」が誕生。見た目が愛くるしいだけでなく、名前「キタニシカ」は最後の「カ」の字を漢字の「力(ちから)」と読み替え、「キタニシ力(りょく)」とも読み、本校が探究学習において求める五つの力を示すシンボルとなりました。「キタニシカ」は可愛いマスコット役を務めるだけでなく探究学習の旗振り役でもあるということです。また開校46年目の今年は県からグローバルハイスクールの指定を受けるとともに、今後ますます求められるデジタル人材を育成する普通科高校たらんと、文部科学省よりDXハイスクールの指定も受けました。本年夏には希望者を募り、東京都市大学、東海大学、日立システムズ、GMOなど大学、企業の最先端のデジタル環境を視察する研修を行い、生徒は多くの刺激を受けてきました。

 最後に本校が開校以来、地域の方々、地域中学校の先生方からいただいている言葉を紹介します。それは「アットホームな北西(きたにし)」です。「アットホーム」とは「くつろいださま、家庭的」という意味です。今年から始めた公式インスタグラムでは、あくせくせず、ゆったりと、つながりを大切にして、自分の本当にやりたいことをじっくり考え、勉強に、部活動に、行事に取り組む北西生の姿をたくさん見ることができます。ホームページとあわせて、ぜひご覧ください。

令和6年10月 校長 邑田聡一
 

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