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中学校との連携
 中学校と連携をすることにより、SSHの中学校への普及と教材の共同開発、授業支援の在り方について研究することができ、中学校と高校の教員の資質の向上に繋がる。

場 所  磐田市立南部中学校
日 時  平成23年10月11日(火)14:30~15:20
対象生徒 磐田市立南部中学校3年生 30名
指導者  教諭 佐藤 弘人
内 容
 磐田市立南部中学校で行われた3学年進路学習会の中の模擬授業に講師として招かれ、本校を志望する生徒を対象に特別授業を行った。本校以外にも、商業科、工業科、農業科を持つ近隣の高等学校から教員が集まり、1時間の授業を行った。
 授業は、高等学校で学ぶ2次関数の平行移動について講義形式で行った。高等学校の学習の厳しさを伝えてほしいということであったので、中学校と高等学校の授業の違いについても話をした。平方完成を説明する場面では、具体的な数字を用いた式変形とともに、数を表す文字を用いた式変形も行った。式変形では中学校で学んだ因数分解の考え方が利用されているため、基礎力の定着の必要性について話した。


小学校との連携
小学校との連携

 SSHで得た成果を周辺の学校に普及することは、SSHの目的のひとつにも取り上げられている。一方、本校は平成20年度まで静岡県教育委員会の指定を受け、小学校と高校の連携に取り組んできた。磐田市立磐田西小学校の生徒が本校に来て授業を受けたり、本校の教員が磐田市立磐田西小学校に出向き小学生に対して授業を行ってきたのである。
 そこで、小学校との連携を引き続きSSHで取り組みことが、成果の普及につながると考え、平成21年度よりSSHの事業の中にこれを位置付けて取り組むことにした。
もし、小学校との連携が深まれば、SSHの小学校への普及と教材の共同開発、授業支援の在り方について研究することができ、小学校と高校の教員の資質の向上に繋がると考えられる。

化学領域

 水溶液の性質に関する学習の導入として、様々な水溶液について、リトマス試験紙を使って色の変化の有無を調べる実験を、四人の班単位で行った。実施内容は以下のとおりである。
日  時  平成23年12月2日(金)11:00~15:00
場  所  磐田市立磐田西小学校理科室
実験テーマ 水溶液の性質
参加児童  磐田市立磐田西小学校6年生60名
指導者   教諭 松本文彦
内 容
 純水・石灰水・食酢の水溶液・重曹水溶液・レモンの水溶液・砂糖水溶液の6種類についてリトマス試験紙の色の変化を調べた。試験管やピンセットといった実験器具を前に真剣に説明を聞き、その後は楽しく実験ができた。フェノールフタレインを使った演示実験も行い、食い入るような視線を浴びることとなった。



地学領域

 磐田西小学校の児童を招き、太陽の観察と指導を本校屋上で行った。実施内容は以下のとおりである。
日  時  平成23年7月22日9:30~12:00
場  所  本校北館屋上天体観測室周辺
実験テーマ 太陽の黒点の観察と太陽の日周運動の確認
参加児童  磐田市立磐田西小学校4年生70名 
指導者   教諭 青島 晃 
内 容
 磐田市立磐田西小学校4年生70名は、天体観測室内にある15cm屈折望遠鏡の説明を受けた後、投影板に写し出された太陽を順番に観察した。児童は「太陽には黒点があるね」などと感想を述べながら興味深そうに観察した。また、屋上のベランダに出て、太陽の日周運動の移り変わりを観察した。



その他の地域との連携
 平成23年10月1日には、袋井市の法多山尊永寺の境内にて、星空公団浜松の八木弘巳氏と協力をしながら、望遠鏡を持ち込んで袋井市民約200名を対象に星空観望会を実施した。また、平成23年8月1日には夜空の明るさ調査を磐田市立磐田西小学校の児童と保護者を招いて実施した。この星空観望会では、地学部天文班の部員が天体の解説を行った。
平成23年8月7日には静岡新聞が主催する「静岡かがく特捜隊2011inアクト」で地学部地震気象班の生徒3人が液状化実験のブースを出展し、小学生やその保護者を対象に液状化の仕組みや被害をわかりやすく説明して好評であった


SSH研究会
【 数学研究会】

目 的
 本校には部活動としての数学研究部がない。しかし、数学に興味を持つ生徒はおり、高校数学の内容とは違った数学の面白さを体験させたい、というのが設置の狙いである。

研究内容と経過
  まず研究会の発足であるが、漠然と「数学」といっても集まらないので、研究テーマを絞って募集をした。研究テーマは「L-System」である。L-system(Lindenmayer system)は、植物の成長プロセスをはじめとした様々な自然物の構造を記述・表現できるアルゴリズムで、1968年、理論生物学者であり植物学者のアリステッド・リンデンマイヤーによって植物(酵母、菌や藻類)の成長過程や構造・相互関係等を表現するための方法として開発された。自然物の他にも、自己相似図形やフラクタル図形を簡単に記述でき、人工生命の生成にもよく用いられる。初歩的には、タートルグラフィクスを用いてシステムを構成するが、中学校までの知識があれば取組むことができる。静岡大学教育学部附属島田中学校ではドリトルを使った授業を行っており、ここでタートルグラフィクスを学んだ生徒がメンバーとして入っている。高校数学の行列の知識があれば、3次元タートルグラフィクスなどの高度な研究ができるが、逆にこの研究を通して行列の考え方と座標変換について学ぶこともできる。
 7月、生徒にコンピュータソフトCinderellaを渡し、夏休みを利用して各自研究をスタートすることとした。夏休み中であるので、学校での指導や、集まっての活動はやりにくいため、Web上に掲示板とファイル置き場を用意し、ここで意見交換などを行った。まず、文献「An Introduction to Lindenmayer Systems(文献1)」を翻訳することを手がけた。専門用語がかなりあり、高校1年生には難しいが、難しいことにチャレンジするのが当初の目的でもある。夏休みの間に、Cinderellaの基本的な使い方と、プログラミング言語Cindyscriptを用いたタートルグラフィクスについてはほぼ理解し、2学期には、放課後集まれるときに(原則として木曜日)コンピュータ室で研究を行った。Lindenmayer自身が書いた本「The Algorithic Beauty of Plants」を1冊購入したが、同じものがPDFとしてWeb上に公開されており、全員がL-Systemのバイブルともいうべき文献を手に入れることができた。

成果と課題
 部活動優先で、放課後できても木曜日だけ、という時間的制約もあり、研究がどれだけ進んでいくのかまったく未知数であり、ほとんど活動できないことも予想された。しかし、生徒は予想以上に熱心に活動し、平面上でのタートルグラフィクスによるフラクタル図形の描画ができるようになった。自宅や校庭の木の枝分かれを写真に撮り、L-Systemの基本的概念も理解した。
 次の図は、生徒の自宅の木と、タートルグラフィクスによる枝の成長システムを示す。枝の成長システムはCinderella上のプログラミング言語Cindyscriptを用いて描画している。自分たちでWeb上にあるレクチャや文献を読んで基本事項を理解した上に、フラクタルのドラゴンカーブを模した図形や、植物の成長システムをモデルとした図形を創造的に制作できたことが大きい。来年度は新入生を加えて活動を拡大していく意欲もあり、今後の発展が期待される。





 参考文献
(1) G.Ochoa An Introduction to Lindenmayer Systems (1998)
(http://www.informatics.susx.ac.uk/research/groups/nlp/gazdar/teach/atc/1998/web/ochoa/)
(2) P.Prusinkiewicz・A.Lindenmayer 「The Algorithic Beauty of Plants」 SPRINGER VERLAG


【天文研究会】

目 的
  天体観測や天文学の学習を通して、生徒の天体や宇宙に対する興味関心を高める。
本校の屋上の観測機器を使って天体観測や天文学の学習を行えば、生徒の天体や宇宙に対する興味関心を高めることができる。

研究内容と経過
 活動内容は本校屋上の15cm屈折望遠鏡を中心に各種光学観測機器を用いて、昼間の太陽黒点観測や夕方を中心に惑星や星雲星団の観望を行っている。現在会員は2年生1名、1年生2名、計3名である。活動時間は、SSH研究会の趣旨である運動部の生徒にも参加しやすい時間帯に配慮して、昼休みと部活終了後の夜間に設定し、特別な理由がない限り放課後や土、日曜日は活動を行わない。
第1回目の観測として平成23年12月10日夜半から11日未明にかけて起こった皆既月食の観測を行った。
 1 日時   平成23年12月10日(土) 午後8時から11日(日)午前2時まで
 2 場所   磐田南高校屋上天体観測室
 3 経過   20:00~21:45 観測準備
        21:45     月食の始まり
        23:05     皆既食の始まり
        23:58     皆既食の終わり
        1:18      月食の終わり
        1:18~2:00   片づけ・ 解散    



 また、愛知県立一宮高校が主催するコアSSH「全国一斉!みんなで夜空の明るさ調査」にも参加している。これは、最近、マスコミでも問題になっている「光害」を高校生や小中学生が観測することによって、学校間で交流を図りながら、夜空の明るさを決める要因を追求するものである。

SSH文章案内
 本校国語科では、教科研修の一環として独自の教材制作を行なっている。SSH文章案内「科学 ことば こころ」は、平成17年度の第1集をから始まり、数年をかけて第2集、第3集と、科学を柱にした教材を制作してきた。
 ひとくちに「『科学』を柱に」と言っても、そこには「科学的文章」あり、「科学者の文章」あり、「未来の科学者に読ませたい文章」あり・・・、その内容は多岐に渡る。いくつかの章立てを行い、ひとつひとつは短時間に読めて、まさに「文章案内」となるように構成をした。



第1集 収録作品

第1章 科学者のことば
1 湯川秀樹       科学は力か知恵か
2 朝永振一郎      庭にくる鳥
3 白川英樹       夢を持つこと
4 野依良治       実験をはじめた最初
5 小柴昌俊       暗い日の感想 研究と責任
6 田中耕一       私の原動力
7 広中平祐       「素心」ということ
8 毛利 衛       宇宙に行って考えたこと
9 手塚治虫       「人間らしさ」をとらえなおす

第2章 科学を越えて
10 小林秀雄      お月見
11 星 新一      古い月、新しい月
12 黒崎政男      チェスでヒトは敗れたのか

第3章 時空を越えて
13 関口 宏      日本の風の神様
14 草下英明      建礼門院右京大夫の見た星空
15 木下順二      子午線の祀り
16 真木悠介      時間のない大陸・インド
17 遠藤周作      沈黙
18 藤原正彦      奈良時代の九九に思う

第4章 新しい考え 新しい言葉
19 与謝野晶子     台風
20 大谷東平      TYPHOONの語源
21 鈴木孝夫      虹は七色か 日本語の虹
22 安野光雅      朱鷺色
23 内山 節      自然と人間

第5章 医をこころざす
24 加藤周一      医者のドイツ語
25 養老孟司      医学における「知」
26 森 鴎外      高瀬舟縁起

第6章 死と対峙する
27 小林秀雄      人形
28 河合隼雄・村上春樹 無意識を掘る「からだ」と「こころ」
29 宮沢賢治      グスコンブドリの日記
30 梶井基次郎      櫻の樹の下には
31 湯本香樹実      夏の庭 The Friends

第7章 師友
32 夏目漱石       吾輩は猫である
33 寺田寅彦       宇宙線
34 寺田寅彦       科学者とあたま
35 中谷宇吉郎      線香の火
36 岡 潔        情操と智力の光

第8章 むすび
37 司馬遼太郎      21世紀に生きる君たちへ

第2集収録作品

第1章 科学者のことば
 アインシュタイン    日本の小学児童たちへ他一篇
 石原純         科学は日本に存在したか
 湯川秀樹        詩と科学・・こどもたちのために
 ファインマン      花の美しさ
 朝永振一郎       暗い日の感想 研究と責任
 福井謙一        化学を志す
 立花隆・利根川進    科学に「二度目の発見」はない

第2章 耳に残る声
 江崎玲於奈       一読をすすめたいこの一冊
 松井孝典        「地球にやさしい」生き方の誤解
 長谷川眞理子      二つの「文化」のあいだの深い溝
 松沢哲郎        「素朴な信念」から「科学的理解」へ

第3章 道を究める
 小平邦彦        新定理を発見するということ
 矢野健太郎       言葉のだらく
 牧野富太郎       私は植物の精である
 力一ソン        センス・オブ・ワンダー
 糸川英夫        XYZ 道路と廊下 句切り点
 西岡常一        木に学べ
 志村ふくみ       紫匂ふ

第4章 発見
 遠藤寛子        オランダの本
 吉田洋一        零の発見一アラビア数字の由来一
 本川達雄        動物のサイズと時間
 辺見庸         禁断の森

第5章 小説家の眼
 夏目漱石        行人
 梶井基次郎       愛撫
 志賀直哉        剃刀
 川端康成        死顔の出来事
 遠藤周作        海と毒薬
 村上春樹        海辺のカフカ
 小川洋子        博士の愛した数式

第6章3 師友
 寺田寅彦        団栗
 中谷宇吉郎       I駅の一夜
 岡 潔         教育と研究の間
 魯 迅         藤野先生

第7章 現代を生きる
 池内了         医の倫理、科学者の倫理
 村上陽一郎       新しい科学者像の胎動
 高田宏         双眼鏡
 阿辻哲次        ペンからキーボードヘ
 板坂元         IT時代の「活字能力」
 平田オリザ       対話について

第8章むすび
 司馬遼太郎       洪庵のたいまつ

第3集 収録作品

第1章 科学者のことば
1 湯川秀樹   エピソード          『旅人』
2 朝永振一郎  科学者の自由な楽園      『鏡のなかの世界』
3 猿橋勝子   『パンセ』との出会い     『学ぶこと生きること』
4 中村桂子   「二重らせん」以後のワトソン 『二重らせん』
5 戸塚洋二   最後のインタビュー      『戸塚教授の科学入門』

第2章 道を究める
6 福沢諭吉   大阪を去って江戸に行く    『福翁自伝』
7 寺田寅彦   無題             『柿の種』
8 南方熊楠   柳田国男宛書簡        『南方熊楠全集』
9 神谷美恵子  生きがいをうばい去るもの   『生きがいについて』
10 遠山 啓  単純で素直な学問       『数学のきずな』
11 高木仁三郎 三里塚と宮澤賢治       『市民科学者として生きる』
12 日高敏隆  春の数えかた         『春の数えかた』
13 小針睍宏  数学も人間もできた友     『数学の七つの迷信』
14 安藤忠雄  場をつくる          『建築に夢を見た』

第3章 小説家の眼
15 夏目漱石  三四郎            『三四郎』
16 芥川龍之介 藪の中            『地獄変・偸盗』
17 中島 敦  文字禍            ちくま日本文学 『中島 敦』
18 吉村 昭  光る壁画           『光る壁画』
19 渡辺淳一  猿の抵抗           『光と影』

第4章 同心円
20 青山 士  社会の進歩発展と文化技術
21 山本巴水  調律法の大苦心        『伝記小説 山葉寅楠』
22 高柳健次郎 大勢の人間の努力はひとりの天才に勝る 『あの人に会いたい』

第5章 生 老 病 死
23 清岡卓行  胎内音              日本の名随筆『産』
24 小林秀雄・岡潔 「一」という観念       『人間の建設』
25 石牟礼道子 潮を吸う岬           『苦海浄土』
26 野口シカ  会いたさ見たさ 野口英世宛書簡 『野口英世とその母』
27 正岡子規  家庭の教育といふ事      『病床六尺』
28 多田富雄・柳沢桂子 今一番怖いと… ・ 国際紛争に… 『いのちへの対話露の身ながら』
29 柳田邦男  ぼく自身のための広告     『犠牲サクリファイス』 
30 吉田 満  作戦発動           『戦艦大和ノ最期』
31 韻文三編  永訣の朝    宮沢賢治
        レモン哀歌   高村光太郎
        死にたまふ母  斎藤茂吉

第6章 むすび
32 佐々木信綱  松阪の一夜      『尋常小学校国語読本巻十一』

英語による科学授業
目 的
 21世紀を担う科学者に求められる英語力を、「英語」の授業によってではなく、英語を母国語とする外国人による英語以外の教科の授業を通して科学を理解することを目的とする。また英語で書かれた科学に関する読み物(サイド・リーダー)を読むことで読解力を養う。

実 施
 理数科2年 

ALTによる科学の授業
平成23年度 右脳と左脳 ラブ先生
 ラブ先生の授業では、毎回パワーポイントを駆使した導入で始まり、生徒を飽きさせない展開で各学習項目について生徒の興味を上手に引き出している。将来、大学あるいは社会人となってからパワーポイント等を利用したプレゼンテーションをする可能性の高い生徒たちにとっては非常に参考となるモデル授業であり、メディア・リテラシーの向上にも役立つ授業内容である。



これまでの取り組み
 平成18年度 眼のしくみ ローレン先生
 平成19年度 眼のしくみ ローレン先生
 平成20年度 汚染から地球温暖ヘ ケネス先生
 平成21年度 絶滅危惧種     ケネス先生
 平成22年度 海洋汚染と生物への影響 ケネス先生

 平成17年8月から本校に勤務していたALT(ローレン先生)はアメリカの大学で生物を専攻し、生物の知識がある。帰国後メディカルスクールに通う意志があるので、体の部位には造詣が深い。生徒は普段の授業とは違う緊張感と楽しさがあり、まるでアメリカの高校(大学)で授業を受けているようである。また、平成19年8月に本校に赴任したALT(ケネス先生)は環境学、地理学を専攻している。温暖化現象を分かりやすく、楽しく説明し、生徒も英語による授業によく反応していた。英語による授業成果が十分あがっているようである。 


副読本に科学に関する読み物を採用(普通科・理数科)
 科学に関する読み物は、興味・関心が高い分野のため、多少専門用語など馴染みのない英単語が出てきても楽しんで読めたようである。課題や確認テストの出来を見てもよく理解していると思われる。科学の分野とは言っても幅広く人間の生活全般を扱っているため、未知の分野を知り、興味を持つきっかけともなったようである。今後も科学に関するサイドリーダーを教材として、授業や課題に取り入れていきたいと考えている。

副読本のテーマ:
H18:Green Planet (数研出版)    
H19:Gateway to Science (金星堂)
H20:LEADING PHYSICISTS (桐原書店)
H21:Gateway to Science (金星堂)
   Green Planet (数研出版)
H22:Green Planet (数研出版)
H23: Chemical Secret (数研出版) 

企業関係者等講演会
目 的 
 高校生活が半ばを迎える第2学年時は、授業を中心とした日常の学習活動に際し、より意欲的に取り組むと同時に、知見を広めることで自己の将来像を描くべき時期でもある。 その実践の一助として、実社会のさまざまな場で活躍している講師の講話を聞くことで、職業への関心を高めると同時に理解を深め、進路意識をより確かなものとするべく、本行事は企画されている。
実施の経緯・方法と内容の概略
 企業関係者講演会そのものは学校週5日制に伴う土曜活用の一方策として、以前から実施されていた。平成15年度の第一次指定以降、特に理系関連分野をSSH事業の一環として位置づけ、より幅広い分野の講師招聘が可能となり、現在に至っている。講師の選定、期日・会場の設定等、企画・運営は第2学年部が担当する。年度当初に年間3回(概ね学期に1回)の講演会を企画し、生徒の参加を募る。自身の希望に従って、全員に最低1回の受講を義務づけ、事後アンケート・レポートを提出させる。講演会の内容や生徒の感想を学年通信を通じて生徒全体・保護者に紹介する。 なお講演会の開催に際しては、保護者の参加も募っている。

平成23年度企業関係者等講演会

第1回  北村 大悟 トヨタ自動車
     大場 勝仁 介護福祉事業所経営
第2回  上田 記子 JICA:国際協力事業
     北川  聡 浜松ホトニクス
第3回  椎野 泰和 川崎医科大学附属病院
     原野 将克 JR東日本

平成22年度企業関係者等講演会

第1回  石井 謙司  (株)ヤマハ発動機商品開発部
     北川 聡   (株) 浜松ホトニクス
第2回  山下 貴洋  (株) 静岡銀行
     鈴木 彦太郎 (株) スズキ
第3回  古木 利彦  (株) サカタのタネ
     上田 記子  JICA

平成21年度企業関係者等講演会

第1回  神谷 晶子  中国語通訳
     中野 輝美  (株)日星電気
第2回  加藤 光久  社会労務管理士
     杉山 暢昌  気象庁
第3回  小澤 義一  一級建築士
     上田 記子  JICA

平成20年度企業関係者等講演会

第1回  大島 利美 (株)サントリー グループ業務推進部人事給与センター
     中野  純  公認会計士
第2回  中野 輝美  日星電気(株) 総務部
     長谷川 仁 (株)ヤマハ発動機 スポーツ推進グループ
第3回  片山可奈子 (株)静岡第一テレビ 事業部
     細田 咲江  企業コンサルタント

平成19年度企業関係者等講演会

第1回
講 師  田村宏記 (株)三菱自動車工業技術開発本部パワートレイン制御技術部
講演題目 エンジニアとは
日 時  平成19年6月16日(土) 9:20~11:00
場 所  磐田市文化振興センター
出席者  生徒65名 保護者2名
内 容  エンジニアの仕事とやりがいについて

 田村氏は入社以来、エンジン及びエンジン制御の研究・開発をされてきた。その経験に基づき研究内容や一日の行動、そして海外の実地走行テストなどエンジニアの仕事について、さまざまな面を具体的に話していただいたので、生徒は実社会の開発現場を知ることができた。高校での勉強内容(英数国理社)が仕事の基礎になっており、どの教科がどのように役立っているかということも具体的に話された。理系であっても海外での仕事が多くあるので、英語はもちろんのこと、地理歴史文化など社会の勉強も大事であるという話も生徒には有益であった。また、最先端をやるということは高校の勉強とは違って、自分の周りに答えを知っている人はおらず、手近に参考書もない。そこでまず「調べ方(何を、どのように調べるのか)から調べる」という話は研究というものを端的に表しており、印象的であった。「最先端にいるということは、エンジニアとして充実感があり、日々忙しくそして楽しく過ごしている」という言葉に生徒は将来像のひとつを見ることができ、今日の自分を将来にっなぐことができたはずである。  

第2回

講 師  小栗孟 サーククリニック院長 医学博士
講演題目 憶えておきたい記憶術とこころ術の心得
日 時  平成19年11月10日(土) 9:20~11:00
場 所  磐田市ワークピア多目的ホール
出席者  生徒数40名
内 容  
1 記憶術向上について
 百人一首は記憶術の良い題材になる。インド人の知識階級は99×99まで暗記している。番号の引き出しなどを作る記憶のキーを上手に使い、言葉と数字を関連させる、五感全てを活用させることが大切である。
2 溢れる(Breakthrough)
 ある日突然泳げる、自転車が乗れるようになる。コップに水を入れていくと、いつかは溢れる。同じように繰り返し努力するうちに、ある日溢れ、できるようになる。
3 情報処理理論
 心のあり方によってスイッチができて、結果が生まれる。スイッチによってOnとOffが行われる。Ifで選択してOnによって行動する。
4 人間力と心がすべて
 仕事で成功するためには、人を喜ばせることが大切である。人が生涯得られる幸せと経済は、その人が世に与えたサービスの質と量に比例する。ディズニーランドは夢と喜びを与えるから成功した。幸せになりたかったら、人を喜ばせなさい、それが自分の幸せにっながるのです。
5 まとめ
 なぜ人は学ぶのか。学問は人を喜ばせるためにある。知識・体力・笑顔・言葉もすべて人を喜ばせるためにある。人々に喜びを与える仕事をすることが大切である。人の行動はほとんど心で決まる。プラスに考えていくこと、心のあり方が人生を決めるのである。  

第3回

講 師  古木利彦 サカタのタネ掛川総合研究センター長
講演題目 種苗会社と農業
日 時  平成20年2月2日(土) 9:20~11:00
場 所  磐田市ワークピア多目的ホール
出席者  生徒数61名
内 容  
 「サカタのタネ」は野菜・花の主に種子として売れるものを扱っている。世界17か所の研究所や農場で研究を展開中。国内では、野菜・花の種子・苗の販売、農業・園芸資材の販売、造園関係などを扱う。種苗会社は、育種だけではなく、種の播き方、水の 掛け方、肥料の与え方、温度等の管理方法など種を販売後の様々なアフターケアも行っている。
 育種は長い期間をかけて商品化するものである。およそ1つの品種は10世代かかって商品化されるので、タマネギのように2年で1世代の野菜は商品化に20年かかる、息の長い開発である。その他たくさんの野菜や花の育種の事例を紹介。最後に、農業を取り巻く最近の話題を紹介された。それぞれのコメントが身近で面白く、親しみやすく聞くことができた。またそんなことまで開発する過程で考えているのかといった驚きも感じさせられた。そしてその中にも様々な開発の難しさや苦労がそれとなく伝わってくる内容だった。最後に自分の留学経験から英語の重要性を訴えて講演は終了した。  

平成18年度企業関係者等講演会

第1回 荒木 知明 (株)コーニングジャパン
第2回 小澤 義一  一級建築士
    中野  純  公認会計士
第3回 奥田 剛弘  ポーラ化成工業(株)アペックス・アイ肌分析センター所長
    坂本 寿美     同        人事部課長
    杉田 樹彦  JICA

数学セミナー
 数学セミナーは平成15年度から17年度まで行われていた数学講演会に代わって平成18年度から行うようになったものである。静岡大学八巻直一教授(平成20年度まで工学部システム工学科、平成21年度特任教授)を講師として迎え、2月の2日間、授業2コマ(130分)で行った。また、第3期SSHとなる平成23年度には静岡大学の谷本准教授をお招きした。

平成23年度

実施日時  平成23年11月17日(木)  平成23年12月8日(木)
      いずれも第4、5時間目(12:50~15:10)
実施場所  磐田南高校 パソコン教室
講  師  静岡大学教育学部准教授  谷本 龍二 先生
授業内容  ユークリッドの互除法、ディオファントス方程式、フェルマーの小定理
対象生徒  理数科2年生

方 法
 事前の打ち合わせにおいて、今回の数学セミナーでは、2つの目的を立てることが確認された。ひとつは高校で扱われていない整数問題を題材として、やや高度な問題を解くということであり、もうひとつは未知の問題に対してどのようにアプローチするかを考えさせ、広く自然科学の研究方法を学ばせる、ということである。これから課題研究が本格化していくこの時期に研究方法を学ぶということは大きな意味があり、研究方法自体の講義や演習は不足していると考えていたため、生徒にとって有意義なものになるであろう事が予感された。
 1日目は、Mathematicaの操作方法の復習から始まり、ユークリッドの互除法について、順を追って具体的な数値で計算しながら進んでいった。その際、手計算で考え、Mathematicaで確認するという方法をとった。テキストは、問題の配列がよく考えられており、具体から抽象へ無理なく進むことができた。ただ、生徒にとっては一般化の壁が高いらしく、予定していたよりも多くの時間を費やした。1日目の最後にいくつかの宿題が出され、次回までに考えておくことを指示された。
 2日目は、宿題の確認からディオファントス方程式についての演習、計算機実験が行われた。1日目から時間が経っていることもあり、復習に時間を取られたため、フェルマーの小定理の姿はおぼろげにしか見ることができなかったが、計算機実験をとおして法則性を考える演習は大変充実したものであり、当初の目的をある程度達成できたのではないかと思われる。



平成21年度、22年度

実施場所 磐田南高校パソコン教室
授業内容 「ORの世界」
       ・戦争のモデル
       ・カーナビの秘密
       ・クイズ必勝法
       ・株取引の数学
       ・お父さんのバザー
       ・みんなで旅行に出かけよう
対 象  理数科2年
実施結果 
 21年度からは、先生の専門分野であるOR(Operation Research)とあって、興味深い話をたくさん聞くことができた。ORは、高校数学ではなじみのない言葉だが、簡単な線形計画法は2年次に学んでいるし、平均や標準偏差といった統計の基本も数学の授業で学んでいる。それより一歩踏み出した、共分散や相関係数といった内容を含め、高校生が興味・関心を持つように、多くの具体例を示しながらの講義と実習であった。
 一日目は、川中島の合戦を題材に取っての「戦争のモデル」からスタート。一見数学と関係のなさそうな問題を、モデル化して表計算ソフトでシミュレートするという手法が生徒には大変新鮮で、一気にORの世界に引き込まれた。続く「カーナビの秘密」も好評で、身近な題材に数学が応用できることを実感した。統計学の手法を用いた「株取引の数学」は生徒にとっては難しかったようだが、Excelを用いた実習には皆で相談をしながら真剣に取り組んでいた。
 二日目は、高校数学でも基礎を学んでいる線形計画法から、ORの威力を示すAHP(Analytic Hierarchy Process)へと進む。用意したExcelのマクロがパソコン教室の環境では動かないというトラブルはあったものの、手作業での計算でORの神髄を紹介したところで講義を終えた。生徒達は楽しそうに講義を聴き、コンピュータ実習に参加していた。


平成18年度~20年度

実施場所 磐田南高校パソコン教室
授業内容 「統計学の基礎を学ぼう」
       ・統計学とは?
       ・確率とは?
       ・推定と検定
       ・新聞売り子の問題
対 象  理数科2年
実施結果 
 八巻教授がCDを生徒ひとりにつき一枚用意して下さり、それを直接生徒に手渡すことから始まり、和やかな雰囲気の中で講義と実習が行われた。統計学は大学入試では中心となっていないため、あまり深く学習していない。そうした高校側の事情を踏まえて、高校生が興味・関心を持つように、多くの具体例を示しながらの講義と実習であった。生徒達は楽しそうに講義を聴き、コンピュータ実習に参加していた。統計学は応用の幅が広く、杜会において確率と統計がいかに使われているかが良く理解できた。また、事後に行ったアンケートから、統計学は「将来自分の研究や仕事に役立つ」と回答した生徒が多く、生徒たちは満足し感謝していた。
 教授が、生徒たちに「なぜ?」「どうしたらいい?」と問いかけることが、度々あり「自らやってみることの大切さ」「なぜ、そうなるのか?」と考え続けることの大切さを学ぶことができた。

磐田南高等学校 SSH 数学講演会
 数学講演会は理数科2年生と普通科希望者を対象に平成15年度から17年度まで実施した。

平成15年度

第1回 日 時  平成15年11月12日(木) 15:30~17:00
    会 場  磐田南高等学校はぐま会館会議室
    講 師  静岡大学理学部助教授 芥川和雄
    講演題目 大学で学ぶ線形代数 - なぜ線形代数は大切か
    内 容  線形代数とは/平均値の定理と行列/2変数関数と行列
第2回 日 時  平成15年12月8日(月) 15:30~17:00
    会 場  磐田南高等学校視聴覚室
    講 師  静岡大学理学部助教授 伊澤達夫
    講演題目 「数」ってなんだろう
    内 容  群・環・体/ハミルトンの4元数体
第3回 日 時  平成16年1月31日(土) 11:00~12:30
    会 場  磐田南高等学校はぐま会館会議室
    講 師  静岡大学理学部助教授 奥村善英
    講演題目 目に見えない図形とその複雑さの判定に関する話題
    内 容  数の体系/連続性/フラクタル

平成16年度

第1回 日 時  平成16年10月19日 14:00~16:30
    会 場  静岡大学理学部C棟309教室
    講 師  静岡大学理学部教授 浅井哲也
    講演題目 分数・分数・分数
    内 容  ファーレイ列/フォードの円/掃き出し法
第2回 日 時  平成16年12月17日 14:00~16:30
    会 場  静岡大学理学部C棟309教室
    講 師  静岡大学理学部教授 松田稔
    講演題目 凸関数について
    内 容  凸関数の定義/微分・積分

平成17年度

第1回 日 時  平成17年10月31日 12:50~15:00
    会 場  磐田南高等学校第2選択教室
    講 師  静岡大学理学部助教授 板津誠一
    講演題目 ランダムウォークについて
    内 容  確率の導入/ランダムウォーク/マルコフ連鎖
第2回 日 時  平成17年12月14日 12:50~15:00
    会 場  静岡大学理学部
    講 師  静岡大学理学部助教授 久村裕憲
    講演題目 塵も積もれば無限大?
    内 容  正項級数

地学部
地学部

活動内容
 地学部の活動の方針は、各班で研究テーマを設定し、計画に従って実験観察を行い、それを論文としてまとめたり、口頭発表を行ったりすることである。
 平成23年度の部員数は1年6名、2年5名、3年5名、計16名で、昨年度に引き続き天文班、スプライト班、地震気象班、地質班の4班体制で活動を行った。今年度の取組結果は以下のとおりである。
活動実績
 地震気象班 ①「2009年8月11日駿河湾で発生した地震の静岡県西部の詳細震度」
        日本惑星科学連合主催2011年「高校生によるポスター発表」優秀賞
      ②「2009年8月11日駿河湾で発生した地震の静岡県西部の液状化」
        日本惑星科学連合主催2011年「高校生によるポスター発表」奨励賞
      ③「東北地方太平洋沖地震と歴史地震の津波の波高と被害の推定」 
        静岡県学生科学賞科学教育振興委員会賞
        生徒理科研究発表会西部大会ポスター発表部門最優秀賞
        生徒理科研究発表会西部大会口頭発表部門最優秀賞
        生徒理科研究発表会県大会ポスター発表部門最優秀賞
      ④太田川河口の津波堆積物の発見と産業総合研究所活断層・古地震センター・静岡大学との共同調査
スプライト班①「高高度発光現象『ダンシングスプライト』の形態と成因」
        集会にて口頭発表(神戸、高知)
         静岡県高等学校生徒理科研究発表会県大会最優秀賞
        JSEC2011応募
天文班   ①「紫外線による金星の観測と金星大気の運動解析」
        生徒理科研究発表会西部大会参加
        日本天文学会主催ジュニアセッションポスター発表
        山崎研究助成金授与
        JSEC2011応募
      ②「磐田市周辺の光害の調査」
        環境省主催夜空の明るさ調査  1月20日
        SSH全国一斉夜空の明るさ調査 7月~1月
地質班   ①「遠州灘海岸のガーネットの性質と起源」-特に供給河川と岩体の特定-
        日本惑星科学連合主催「高校生によるポスター発表」奨励賞
        静岡県学生科学賞科学教育長賞
        日本学生科学賞 入選2等
        静岡県高等学校生徒理科研究発表会県大会口頭発表高文連会長賞
        静岡県高等学校生徒理科研究発表会県大会ポスター発表最優秀賞
        長野県飯田市にて「飯田を知ろうプロジェクト」参加
          伊那谷自然史論集第12巻投稿 プライト』の形態と成因」
      ②「本校で観測した3件の『ジェット』の形態の比較」
        日本惑星科学連合主催「高校生によるポスター発表」参加
      ③「高高度発光現象『スプライトハロー』の形態と成因」
        SSHコンソーシアム高高度発光現象研究

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