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ミクロからマクロへ(平成15~22年度 学校設定科目)

目 標


 ミクロの世界およびマクロの世界についての観察、実習などを行い、自然に対する興味や関心を高め、自然を探究しようとする態度を育成する。

留意点


 ミクロとマクロをそれぞれ別に独立したものとして取り扱うのではなく、シームレスで連続した対象としてとらえ、お互いに関連づける。また、ミクロとマクロを空間的なスケールだけではなく、ナノ秒の世界から地球の歴史46億年、宇宙の誕生137億年までの時間のスケールでもとらえる。

< ミクロの世界 >


東海大学レクチャ


 4月、理数科1年生は、ホームルームディを利用して、静岡市清水区三保の東海大学自然史博物館・海洋科学博物館でレクチャと見学をおこなっている。
 まずは、海洋科学博物館内の講義室で、柴正博学芸員の、掛川層群についての講義を受講。

 続いて自然史博物館に移動し、古生物から現代に至る過程について、恐竜などのレプリカを見ながら順次解説。最後は掛川の化石を見て昼食。

化石採集と地層の観察


 5月、掛川市飛鳥金谷池周辺で、露頭観察と化石の採集。ここでは貝の化石を採集。次に掛川市富部で化石採集。ここでは有孔虫化石が含まれる泥状の土を採集。さらに袋井市山名で地層の露頭観察を行なう。

顕微鏡について学ぶ


 5月、静岡県総合教育センター(あすなろ)で、顕微鏡について学ぶ。理数科1年生が大きく2つのグループに分かれ、光学顕微鏡および電子顕微鏡の基本操作と、走査型プローブ顕微鏡および炭素同位体フラーレンの模型作成について交互に学ぶ。

微化石抽出


 7月上旬、採集した土から微化石の抽出を行なった。顕微鏡をのぞきながらの作業。このあと、電子顕微鏡で観察することになる。

電子顕微鏡で写真撮影


 7月から8月にかけ、いくつかの班に分かれて、学校で試料作成を行い、静岡県総合教育センターで実習を行なった。あらかじめ用意した試料を用いて、1台の電子顕微鏡につき2人-3人で交替で電子顕微鏡像を得る。基本操作として、「ステージ操作」「倍率の設定」「ピント合わせ」「コントラスト・ブライトネスの調整」「写真撮影」ができることを目的とした。
 21年度は有孔虫とマウスを試料として写真撮影をした。

 有孔虫の電子顕微鏡写真

 マウスの脳・心臓の電子顕微鏡写真

< マクロの世界 >


天体観測


 7月、磐田市竜洋町で浜松市天文協会長の八木弘巳氏の指導によって夜間天体観測を行なっている。35.5cmシュミットカセグレン赤道儀望遠鏡、15.0cm直視双眼鏡に加え、ドブソニアンも登場。静岡県西部では最大だという。観察時間は午後7時より9時まで。最初に土星を見た後、木星、いくつかのメシエ天体を観察した。

太陽の観測


 2学期の11月から12月に理数科1年生(18HR)を対象に太陽の観察を行っている。理数科1年生を8つのグループに分け、天気の良い昼休みを利用して、本校天体観測室にある15cm屈折望遠鏡に投影板を取り付けて、白色光での観察を行った。今年度は教師側が導入した太陽黒点を見せるだけではなく、実際に望遠鏡を自分たちで操作しながら、最初から導入するように仕向けた。

マクロの世界 平成20年度 宇宙一日出前授業


 平成20年6月、第26回宇宙技術および科学の国際シンポジウム浜松大会主催の「宇宙一日出前授業」に参加し、宇宙に関する専門家による講義を聴講した。これにより、先端分野での研究活動を知るとともに、生徒の科学技術に対する興味関心を高揚させることを目的とした。講師は、財団法人日本宇宙フォーラム 広報・調査事業部長 渡辺勝巳氏。
 テーマは「月に向かった『かぐや』」
 対象は1年理数科 42名と理数科1、3年、普通科生徒の希望者。

英語による科学セミナー2015
日時 7/8(水)4、5限

内容  Antimatter-matter interactions(反物質と物質の相互作用)

講師  Dr Luca Chiari(ルカ・キアリ 理学博士)

   日本学術振興会 特別研究員  東京理科大学大学院 理学研究科 物理学専攻

上記のように、今年度の「英語による科学セミナー」が行われる予定です。

Keywords: Antimatter(反物質),Antiparticle(反粒子),Electron(電子),Positron(陽電子),DNA damage(DNA損傷),Gamma rays(ガンマ線)

平成27年度 プレゼンテーション講座
1 日 時 平成27年5月25日(金) 7月7日(月)
 2 内 容 ライアン・ラブ(ALT)による
        ① パワーポイントの使い方
        ② 英語によるプレゼン指導
 3 参加生徒 1、2年理数科

学校設定科目「磐南スーパーサイエンスⅠ」
地層の観察と化石採集

1 目 的  掛川市周辺の掛川層群の露頭の観察と化石採集を行い、顕微鏡観察のための試料を収集する。

2 日 時  平成27年5月22日(金)

3 場 所  ①掛川市飛鳥金谷池周辺 
        ②掛川市遊家周辺
        ③総合教育センター
        ④袋井市宇刈里山公園
        ⑤袋井市山梨山名小学校周辺

4 対 象  理数科1年

5 実習内容 ①露頭の観察  砂泥互層・化石床・断層・火山灰など 
         ②化石採集   貝化石(ツノガイ、サルボウなど)・植物化石

企業見学
平成22,23年度

場 所  浜松ホトニクス株式会社豊岡製作所 三家工場 浜松中央研究所
時 間    豊岡製作所   13:00~14:20
       三家工場    14:30~15:20
       浜松中央研究所 15:50~17:00
対象生徒 1年理数科18HR
指導者  原 勉氏・大石雅史氏
豊岡製作所では、カミオカンデや光電子倍増管の仕組みの説明を受けた。その後、光電子倍増管や光半導体の製造工程を見学した。中央研究所では、光通信、PETによる最新医療等、光に関する研究の意義や成果について説明を受けた。これからの光技術を利用した新製品の研究についての話を聞くこともできた。



平成21年度

場 所   ヤマハ発動機 本社
         磐田市新貝2500
日  時   平成22年1月28日(木)
対象生徒   1年理数科
指導者    CSR企画推進部 竹原 克紀 氏
       商品企画部   石渡 映 氏
実施概要   ヤマハ発動機では、工場見学や製品開発の歴史の説明、製品開発の
        プロセスや企画開発、マーケティングについて説明を受けた。
実施結果   地元を代表する企業であるヤマハ発動機において、普段は見ることがない工場や開発やマーケティングの話を聞くことは、生徒にとっても非常に興味深いことであったようだ。熱心に質問をする姿が多く見られたことからも、科学に対する興味・関心がさらに高まったといえる。アンケートの結果、参加生徒の全員が今回の企業見学に満足していることからも、有意義な企業見学であった。

平成20年度まで

場 所  浜松ホトニクス株式会社豊岡製作所 三家工場 浜松中央研究所
日 時  平成19年10月25日(木)
       豊岡製作所   13:00~14:20
       三家工場    14:30~15:20
       浜松中央研究所 15:50~17:00
対象生徒 1年理数科18HR40名
指導者  青島紳一郎氏

実施概要
 豊岡製作所では、カミオカンデや光電子倍増管の仕組みの説明を受けた。その後、光電子倍増管や光半導体の製造工程を見学した。三家工場では、光半導体素子の製造工程を見学した。中央研究所では、光通信、PETによる最新医療等、光に関する研究の意義や成果について説明を受けた。

実施結果
 地元を代表する企業である浜松ホトニクスにおいて、どのような研究がなされ、どのような製品が製造されているかについて学んだ。普段は見ることができない研究室や工場内を見学することは、生徒にとっても興味深いことであったようだ。熱心に質問をする姿が多く見られたことからも、科学に対する興味・関心がさらに高まったといえる。アンケートの結果、参加生徒の9割が今回の企業見学に満足していることからも、有意義な企業見学であった。  

SSH研究会
数学研究会

目 的
 本校には部活動としての数学研究部がない。しかし、数学に興味を持つ生徒はおり、高校数学の内容とは違った数学の面白さを体験させたい、というのが設置の狙いである。

研究内容と経過
  まず研究会の発足であるが、漠然と「数学」といっても集まらないので、研究テーマを絞って募集をした。研究テーマは「L-System」である。L-system(Lindenmayer system)は、植物の成長プロセスをはじめとした様々な自然物の構造を記述・表現できるアルゴリズムで、1968年、理論生物学者であり植物学者のアリステッド・リンデンマイヤーによって植物(酵母、菌や藻類)の成長過程や構造・相互関係等を表現するための方法として開発された。自然物の他にも、自己相似図形やフラクタル図形を簡単に記述でき、人工生命の生成にもよく用いられる。初歩的には、タートルグラフィクスを用いてシステムを構成するが、中学校までの知識があれば取組むことができる。静岡大学教育学部附属島田中学校ではドリトルを使った授業を行っており、ここでタートルグラフィクスを学んだ生徒がメンバーとして入っている。高校数学の行列の知識があれば、3次元タートルグラフィクスなどの高度な研究ができるが、逆にこの研究を通して行列の考え方と座標変換について学ぶこともできる。
 7月、生徒にコンピュータソフトCinderellaを渡し、夏休みを利用して各自研究をスタートすることとした。夏休み中であるので、学校での指導や、集まっての活動はやりにくいため、Web上に掲示板とファイル置き場を用意し、ここで意見交換などを行った。まず、文献「An Introduction to Lindenmayer Systems(文献1)」を翻訳することを手がけた。専門用語がかなりあり、高校1年生には難しいが、難しいことにチャレンジするのが当初の目的でもある。夏休みの間に、Cinderellaの基本的な使い方と、プログラミング言語Cindyscriptを用いたタートルグラフィクスについてはほぼ理解し、2学期には、放課後集まれるときに(原則として木曜日)コンピュータ室で研究を行った。Lindenmayer自身が書いた本「The Algorithic Beauty of Plants」を1冊購入したが、同じものがPDFとしてWeb上に公開されており、全員がL-Systemのバイブルともいうべき文献を手に入れることができた。

成果と課題
 部活動優先で、放課後できても木曜日だけ、という時間的制約もあり、研究がどれだけ進んでいくのかまったく未知数であり、ほとんど活動できないことも予想された。しかし、生徒は予想以上に熱心に活動し、平面上でのタートルグラフィクスによるフラクタル図形の描画ができるようになった。自宅や校庭の木の枝分かれを写真に撮り、L-Systemの基本的概念も理解した。
 次の図は、生徒の自宅の木と、タートルグラフィクスによる枝の成長システムを示す。枝の成長システムはCinderella上のプログラミング言語Cindyscriptを用いて描画している。自分たちでWeb上にあるレクチャや文献を読んで基本事項を理解した上に、フラクタルのドラゴンカーブを模した図形や、植物の成長システムをモデルとした図形を創造的に制作できたことが大きい。来年度は新入生を加えて活動を拡大していく意欲もあり、今後の発展が期待される。





 参考文献
(1) G.Ochoa An Introduction to Lindenmayer Systems (1998)
(http://www.informatics.susx.ac.uk/research/groups/nlp/gazdar/teach/atc/1998/web/ochoa/)
(2) P.Prusinkiewicz・A.Lindenmayer 「The Algorithic Beauty of Plants」 SPRINGER VERLAG


天文研究会

目 的
  天体観測や天文学の学習を通して、生徒の天体や宇宙に対する興味関心を高める。
本校の屋上の観測機器を使って天体観測や天文学の学習を行えば、生徒の天体や宇宙に対する興味関心を高めることができる。

研究内容と経過
 活動内容は本校屋上の15cm屈折望遠鏡を中心に各種光学観測機器を用いて、昼間の太陽黒点観測や夕方を中心に惑星や星雲星団の観望を行っている。現在会員は2年生1名、1年生2名、計3名である。活動時間は、SSH研究会の趣旨である運動部の生徒にも参加しやすい時間帯に配慮して、昼休みと部活終了後の夜間に設定し、特別な理由がない限り放課後や土、日曜日は活動を行わない。
第1回目の観測として平成23年12月10日夜半から11日未明にかけて起こった皆既月食の観測を行った。
 1 日時   平成23年12月10日(土) 午後8時から11日(日)午前2時まで
 2 場所   磐田南高校屋上天体観測室
 3 経過   20:00~21:45 観測準備
        21:45     月食の始まり
        23:05     皆既食の始まり
        23:58     皆既食の終わり
        1:18      月食の終わり
        1:18~2:00   片づけ・ 解散    



 また、愛知県立一宮高校が主催するコアSSH「全国一斉!みんなで夜空の明るさ調査」にも参加している。これは、最近、マスコミでも問題になっている「光害」を高校生や小中学生が観測することによって、学校間で交流を図りながら、夜空の明るさを決める要因を追求するものである。

科学の甲子園
科学の甲子園

 本年度より、科学の甲子園静岡県大会が始まった。募集要項には『独立行政法人科学技術振興機構が主催する「平成23年度科学の甲子園全国大会」は、科学技術・理科・数学等における複数分野の競技を開催することにより、全国の科学好きな生徒達が集い、競い合い、活躍する場を提供するものである。本県においては、「平成23年度科学の甲子園静岡県大会」を開催することにより、静岡県代表チームを選抜するとともに、理数教育の推進と科学好きの裾野を広げることを目的とする。』とあり、積極的に参加することで科学への興味・関心を高める一つのきっかけとなる。これは本校SSHの活動目的に合致するものであり、積極的な参加を促し、事前指導も行った。

日程・参加状況及び実績
 科学の甲子園は、高校生が6人でチームを組み、数学・物理・化学・生物・地学・情報の6分野について、問題・実験等に協力して取り組み、競い合うことを通して科学の面白さ・楽しさを再確認しようとするものである。県大会は8月10日(水)、静岡県立浜松北高等学校で実施された。本校からは2年生2チーム、1年生3チームが参加した。県内では、3会場に分かれて東部地区から6チーム、中部地区から6チーム、西部地区から本校5チームを含む12チームの合計24チームで競われた。
 その結果、本校の1年生チームが準優勝という好成績を収めることができた。残念ながら、静岡県代表にはなれなかったが、1年生のチームであることを考えるとよく健闘したと言える。来年度が楽しみである。

大学との連携
大学との連携は、磐南サイエンス実験講座、数学セミナーなどの他、次のプレゼンテーション講座でも行なっている。

プレゼンテーション講座

目 的
 プレゼンテーションの意味と基本的な技術およびその考え方を学び、わかりやすく説得力のある研究発表ができるようにする。
 「スライドの作り方」「PowerPointの使い方」といった講座ではなく、研究発表に主眼を置いた実地指導を公開講座の形で行うことにより、発表のためのプレゼンテーション技術についての理解が深まり、質の良い発表ができるようになる。

実施日時  平成23年6月30日(木)13:45~16:00
実施場所  磐田市iプラザ 2F交流室
講  師  静岡理工科大学教授 志村史夫
対象生徒  理数科1、2年生、生物部、地学部、その他希望者
内  容
 5月に行われた3年生の課題研究発表会で選出され、7月の東海フェスタ、8月の全国生徒発表会に参加することになった生徒課題研究の発表を実際に行い、これを講師の志村先生が講評・手直しをするという実地指導であった。それに先立ち、研究発表におけるプレゼンテーションということで要点をいくつか話された。口頭発表では、まず「これではわからない」と指摘された。聴衆がどのような人たちか(この日は高校生)を考え、専門外の人にわかるような説明をしなければならない、ということである。テーマが数学の「カオスとアトラクタ」で、微分方程式の差分化の話もされており、スライドには数式も示されていた。このあたりの内容をいかにわかるように説明するかが問題である。一方、話し方については、原稿を読まずにアドリブ的に話すというスタイルはよい評価を得ていた。ポスター発表では、ギャラリーに生徒を参加させ適宜質問も行うという、実際のポスター発表を想定した内容で、発表者とギャラリーとの質疑応答に対し、ポスターの作りも含めて数々の助言をされた。聴講者からの質問も相次いだが、会場の関係から、マイクの使用を控えたため、一部聞き取れない場面もあり、改善点として残された。全体には明確な解説で、2時間では時間が足りないほどであった

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