教育相談だより 第2号 静岡県立静岡視覚特別支援学校 令和5年 12月 ■仮移転後も楽しく過ごしています  校舎改築のため、暑い暑い夏休みの期間を使って何とか移転作業を終えました。9月からは静岡南部特別支援学校の1階に全学部が収まっています。慣れた校舎から全く知らない環境になり、子どもたちには戸惑いもありましたが、歩くルートなどを慎重に検討し安全に過ごせるようになりました。静岡南部の児童生徒の皆さんとも良い交流ができています。教室その他のスペースは狭くなりましたが、令和8年の3月まで、静岡南部をお借りして楽しく過ごしたいと思っています。 ■相談の様子〜先取り学習〜  見えにくさのあるお子さんにとって、学校で使用する道具等を先取りして学習することで扱い方が分かり、自信を持って取り組める良さがあるため、教育相談では「先取り学習」を行っています。また、相談に来校してくださったお子さんの学校に訪問して、先生方に見えにくさへの配慮をアドバイスさせていただく「訪問相談」も行っています。 ・算数の作図   定規 やコンパス等 を用いた作図は、学年が上がるにつれて要素が積み重なっていく学習です。 見やすい用具を試したり、扱い方に慣れるよう練習をしたりします。 動画も活用し、 見えにくさを補う 作図の工夫も確認しています。 ・図工の道具 の扱い方  カッター、金づち、彫刻刀等 は、 道具の 先端や細か な操作は見えにくい部分です。安全に操作できるよう道具の 特徴を観察し、 細かいステップを踏みながら練習をします。操作のコツや整理の工夫も 確認します。 ・裁縫やミシンの操作 針・印つけ等に 用いる 見やすい用具を試し 、 練習を重ねておくと安心です。糸と布の色選択には コントラスト を つけると見やすいことを 知 り、 複数ある工程のイメージを動画等でつかんでおくことも工夫の一つです。 ■保護者学習会〜『将来に向けて 今 大切にしたいこと』〜  10月6日の学習会では、本校高等部保健理療科教員で弱視当事者の渡邉教諭より話を聞きました。見えにくさを抱えながらの学校生活では、盲学校の中学部で視覚補助具の使い方を習得したことで、学習が分かりやすくなったこと。あんま・マッサージ・指圧師、はり・きゅう師の資格を取得後、病院リハビリテーション科に勤めたお話からは、見えにくさのため、できることとできないことがあることを周囲に伝える勇気をもつことも大切であると教わりました。働く上では、通勤時には白杖を、授業や教材準備に様々な支援機器を活用している様子を映像で紹介してもらいました。(活用している支援機器:拡大読書器、ルーペ、点字でメモをする「ブレイルメモ」、録音機器「プレクストークポケット」等)  先輩からのアドバイスは、将来の夢を描くこと、一つ一つできることを増やしていくことでした。参加した保護者の方は、お子さんの気持ちに寄り添いながら、挑戦する気持ちを応援したいとおっしゃっていました。 ■視覚障害児者担当者研修会  11月2日に、地域で視覚障害児者の支援に関わる方を対象に研修会を行いました。保健師、眼科医師・視能訓練士、福祉課担当者、市教育委員会指導主事、ハローワーク担当者の方が来校してくださいました。校内参観では、学びを深めるために必要な、配慮された学習環境、教材・教具等、視覚障害教育の実際を見てもらうことができました。ロービジョン疑似体験では、シミュレーションレンズをかけて遊びや学習、移動や生活場面を想定した見えにくさの体験をしました。見えにくいことでの心理面を想像するとともに、困難さを軽減する工夫や配慮の必要性を実感しました。  見え方に心配のある乳幼児の相談を行っている「ひよこ教室」や、教育相談や便利グッズを展示している「あいルーム」の見学も行いました。相談の様子を映像でも紹介し、関係機関の皆様と情報交換することができました。今回築いたつながりを基に、今後もより連携を図っていきたいです。 ■『静岡パラ陸上競技協会』の紹介  『静岡パラ陸上競技協会』は、「障害のあるかたも、ないかたも 一緒にスポーツを楽しもう!」という思いから、平成13年4月に設立されました。県内の東中西の地域ごとに活動しています。コロナ以降、活動頻度は少なくなっていますが1〜2か月に一度程度、地域の学校や陸上競技場で練習しています。視覚に障害のある方も元気に活動していますよ。興味のある方は連絡してみてください。  活動の様子はホームページやfacebookでご覧いただけます。 【ホームページはこちら】 https://sites.google.com/view/para-athletics-shizuoka  フェイスブックは上記ホームページからつながります。 ■ ご利用ください『メール相談』  本校の教育相談では、専用のメール窓口も開設しています。来校しての教育相談のほかに、日々の家庭生活や学校生活での疑問や悩みなどをメールでお問い合わせいただけば、できる範囲で相談担当者がお答えします。これまでに、こんな質問をメールでいただきましたよ。 ・斜視児童の立体視の困難さについて ・見えにくさがある児童の長距離走の負担について ・立体視が難しい児童の、作業での留意点について ・彫刻刀・三角定規・コンパスなどのよりよい利用方法について ・UDブラウザ(iPad での拡大図書 の利用方法について ・拡大教科書の選定について ・書見台の改良と利用方法について etc メールアドレスは次のとおりです。遠慮なくご連絡ください。 soudan.shizuoka-sb@edu.pref.shizuoka.jp 以上。